CASE 06 / B2B SaaS

大手グループB2B SaaSの計測基盤×コンテンツSEO支援 — 計測から制作・改善まで一気通貫

業種
AI業務最適化SaaS(大手メーカーグループ)
支援内容
計測基盤構築(GTM/GA4)・コンテンツSEO・月次レポート
期間
継続中/1名体制
約5割CV総数(翌月着地見込み)
1位台指名検索 平均順位(トップ圏へ改善)
3点台GSC平均掲載順位(健全水準)

Challenge課題

リニューアル直後のB2B SaaSで、流入とCVを定量的に可視化しながら、親会社の品質基準を守って複数の現場業種のコンテンツを増やすことが課題でした。行動データの計測基盤がなく、改善の打ち手を定量化できない状態でした。

Approach取り組み

GTM/GA4で独自イベント(CTAクリック・フォーム各段階)を設計し計測基盤を構築。「公式未記載スペックは書かない・実績は公式数値準拠・誇大排除」を制作ルール化し、業種横断のKWを4層構造で整理。GA4/GSC/GTM統合の月次レポートまで一人体制で一気通貫運用しました。

Result成果

リニューアル直後の落ち込みを「一時的な検索評価変動」と切り分けて報告。翌月は全体セッション約+6%、CV総数が約5割増、CVRも改善する着地見込みで明確な反転を確認しました。

Details

取り組みの詳細

課題の分析から具体的な施策、成果の内訳、横展開のポイントまでを掘り下げて解説します。

課題分析と仮説

支援の中で、課題を3つの構造的要因に分解しました。

品質ガバナンスと量産のトレードオフ

大手グループ傘下のB2B SaaSでは、「書ける表現の範囲」に強い制約がかかります。公式サイトに記載のないスペックは書けず、実績数値も公式準拠が原則で、誇大表現も使えません。一般的なSEOライティングのように「ベネフィットを盛る」方向の量産は通用せず、品質ガバナンスと量産がトレードオフになりやすい構造でした。

仮説

「公式未記載スペックは書かない・実績は公式数値準拠・誇大排除」を制作ルールとして言語化・テンプレ化すれば、品質ガバナンスを保ったまま量産できる。

複数業種横断による検索意図の分散

本サービスは複数の現場業種をまたぎます。KWを業種横断で一律に並べると検索意図がぼやけ、どのページが何の検索意図に応えるのかが曖昧になり、上位化しにくくなります。特に新規領域は立ち上げ段階で、KW設計が固まっていませんでした。

仮説

業種ごとにKWを「検索意図の階層(4層構造)」で整理し、トップ系・比較系・課題系・ロングテール系に分けて記事を割り当てれば、検索意図のカバレッジと上位化の両立が見込める。

計測基盤の不在による打ち手の非定量化

リニューアル直後で、行動データ(CTAクリック・フォーム入力・離脱)を計測する基盤がありませんでした。計測がないと、流入の増減を「リニューアルに伴う検索評価の変動」なのか「施策の効果」なのかに切り分けられず、改善の打ち手を定量的に語れません。

仮説

GTM / GA4で独自イベント(CTAクリック・フォーム入力・プロダクト関心等)を設計・実装すれば、行動データを月次で蓄積でき、CVに効く導線を定量的に特定できる。

実施した施策

GTM / GA4イベント設計による計測基盤構築

リニューアルに合わせて、GTM(Googleタグマネージャー)とGA4で行動計測の基盤を構築しました。

  • CTAクリックイベント: 主要導線(トライアル・資料DL・お問い合わせ等)を複数イベントで計測
  • フォーム関連イベント: フォーム表示・入力開始・送信完了の各段階を計測
  • GA4カスタムディメンション: プロダクト種別・流入区分等を計測項目として追加
  • 行動指標の定義: プロダクト関心率・CTAクリック率・フォーム入力率を段階的に計測

これにより、リニューアル後初のフル稼働月から、行動データが完全な月次データとして蓄積される状態になりました。

親会社品質基準準拠の制作ルール整備

大手グループのブランド品質基準に準拠した制作ルールを整備し、記事ファクトチェックと導入事例の構造化フォーマットを定めました。

  • 公式未記載スペックは書かない: 機能・効果は公式サイトの記載範囲に限定
  • 実績は公式数値準拠: 導入実績は公式表記を正本とし、表記揺れがある場合は確認のうえ採用
  • 誇大表現の排除: 「必ず」「絶対」等の断定・保証表現を使わない
  • 導入事例の構造化: 課題 → 効果を太字ラベルで整理する固定フォーマットを採用
  • 規制・統計の出典厳守: 業種ごとの最新規制・統計改定に追従

固定CTAの配置や導入事例の太字ラベルなど、制作フォーマットを標準化することで、品質を保ちながら制作スピードを上げる運用を実現しました。

新規領域の競合分析と4層KW戦略

立ち上げ段階だった新規領域について、競合分析とKW戦略を実施しました。

  • 競合分析: 直接競合・隣接領域あわせて二十社規模を分析。Ahrefsで競合のオーガニックKWを抽出
  • 4層KW構造の提案: 対象領域のKW候補群を「トップ系 / 比較系 / 課題系 / ロングテール系」の4層に整理して提案
  • 構造化エクスポート: 提案内容をNotionに構造化して共有し、記事化の優先順位を可視化

業種横断のKWを検索意図ごとに整理することで、どのページがどの検索意図に応えるのかを明確化しました。

複数業種でのコンテンツSEO

column配下で、複数の現場業種の各カテゴリを月2本ペースで継続公開しました。

カテゴリ ターゲット 公開状況
現場業種A 移動・運搬を伴う業種 十数本公開済
現場業種B 施設運営の業種 十数本公開済
現場業種C 外回り・巡回の業種 立ち上げ中

代表的な記事として、比較系の「[業務ツール] おすすめ[N]選」記事(1万字弱)を執筆。比較記事は検索意図が明確でCV導線につながりやすいため、新規領域の起点記事に位置づけました。

GA4/GSC/GTM統合の月次レポート基盤

月次レポート用のスプレッドシート基盤を実装し、GA4・GSC・GTMのデータを統合した月次レポートを自動化しました。

  • 構成: 集計シートとrawシートを分離した十数シート構成
  • GA4連携: Magic Reportsで複数レポートを自動取得
  • GSC連携: Search Analytics for Sheetsで検索パフォーマンスを自動取得
  • 統合報告: KPI集計・流入チャネル別・自然検索(指名/非指名)・CV分布・行動指標を一つのレポートに集約

raw層と集計層を分離することで、データ更新と分析を分離し、月次レポート作成の工数を圧縮しました。

CV計測の運用設計と黄金パターン分析方針

CVポイントが3軸(トライアル / 資料DL / お問い合わせ)に分かれるため、CV到達セッションの共通行動シーケンス(黄金パターン)を抽出してKPI定義を固める方針を定めました。導入事例閲覧・スクロール深度・FAQ閲覧・料金ページ閲覧などの行動を、CVに効く導線として定量化していく次フェーズの分析設計です。

Claude Code環境を活用した工数削減・品質向上

本事例は、計測基盤・月次レポート・事例記事のファクトチェックをソリシオのClaude Code業務基盤で機械化しています。大手メーカーグループの品質基準を守りながら、運用負荷を一人体制で吸収する仕組みです。

活用ポイント 内容 工数削減・品質向上の効果
月次レポート基盤 GA4(Magic Reportsで複数レポート)・GSC(Search Analytics for Sheets)を自動取得し、raw層と集計層を分離した基盤を構築 月次レポートの集計工数を圧縮し、データ更新と分析を分離
導入事例の数値一次確認 事例ページがJSレンダリングで本文を取得しづらいため、curlで構造化データ(JSON)を抽出して本文全文を取得し、数値を一次確認 汎用の取得では拾えない事例の数値を確実に一次確認し、ファクト精度を担保(既存記事の古い数値の混入を防止)
GTM/GA4独自イベント設計 CTA・フォーム・カスタムディメンションのイベント設計を体系化 計測の抜け漏れを防止し、行動指標の取得を担保
/compliance-check(公正競争規約) 親会社グループの品質基準(公式未記載スペックは書かない・実績は公式数値準拠)に沿った表現チェック グループ品質基準への準拠を機械的に担保

上記で機械化したのは収集・検出・整形といった反復工程であり、施策の意思決定と成果物の最終レビューは必ず担当者が行っています。

成果

リニューアル後初のフル稼働月の月次データと、翌月着地見込みで以下の成果が確認できます。

計測基盤の立ち上げ(行動データの可視化)

GTM / GA4イベント設計により、リニューアル後初のフル稼働月から行動指標が月次データとして可視化されました。

行動指標 水準
プロダクト関心率 概ね3割弱
CTAクリック率 数%
フォーム入力率 約2%

各指標は、全セッションを母数として以下のように定義しています。

  • プロダクト関心率: 各プロダクトの紹介ページに到達したセッション比率
  • CTAクリック率: 主要CTA(トライアル・資料DL・お問い合わせ)をクリックしたセッション比率
  • フォーム入力率: フォーム入力を開始したセッション比率

サイト全体のセッションリーチ・CTA・フォームの各段階を定量的に把握できる状態が整い、「どこで離脱しているか」を段階別に追えるようになりました。

リニューアル後初のフル稼働月の実績(ベースライン)

指標 当月実績 前月比
全体セッション 約5千弱 微減
自然検索セッション 2千件台半ば
GSC全体クリック 数百クリック
GSC平均掲載順位 3点台前半(健全水準)
指名検索クリック 増加(前月比上振れ)
指名検索 平均順位 トップ圏(1位台) 改善(2位台→1位台)
CV総数 数十件台後半
CVR 1%台後半 やや低下

CV内訳は、現場業種Bの資料請求が最大、次いでお問い合わせ・トライアル申込・現場業種Aの資料請求が続く構成で、現場業種BカテゴリのCV寄与が最も大きいことが定量的に示せました。

当月は全体セッション・CVともに前月比で落ち込みましたが、これはサイトリニューアル直後の検索評価変動による一時的な揺れと判定しました。実際、非指名検索(認知・比較層)の流入が落ち込む一方で、上表のとおり指名検索は前月比で増加し平均順位もトップ圏へ改善しており、ブランド認知は順調に強化されていました。

翌月着地見込み(反転)

月後半までの実測を日割で月末換算した着地見込みでは、当月の落ち込みからの明確な反転が確認できました。

指標 翌月着地見込み 当月比
全体セッション 5千件台 増加(約+6%)
CV総数 百件超 約5割増(+49%水準)
CVR 2%台前半 改善(約+0.7pt)

自然検索セッションも二桁%増の見込みで、当月の落ち込みが「リニューアル直後の一時変動」だったという解釈を、翌月のデータが裏付ける形になりました。CVRもプロダクト関心率・CTAクリック率・フォーム入力率の各段階で改善し、1%台後半から2%台前半へ上振れする見込みです。

定性的変化

  • GTM / GA4独自イベントにより、行動指標が初めて月次データとして可視化された
  • リニューアル直後の流入変動を「一時的な検索評価変動」と切り分けて報告でき、翌月反転見込みで裏付けられた
  • 親会社品質基準準拠の制作ルール(公式未記載スペックは書かない・実績は公式数値準拠・誇大排除)が定着
  • 複数業種を4層KW構造で整理し、新規領域の記事化優先順位が可視化された
  • CV到達セッションの黄金パターン分析という次フェーズの分析方針が定まった

ふり返り・横展開ポイント

再現可能なポイント

本事例の核は 「計測基盤の構築 × 公式準拠の制作ルール × 業種横断の4層KW設計」を1名体制で一気通貫運用すること です。計測(GTM/GA4)・制作(コンテンツSEO)・レポート(GA4/GSC/GTM統合)が分断されず一人の中で統合されるため、流入の増減を施策効果と地合い変動に切り分けながら、次の打ち手をすぐ設計できます。

要素 横展開可能な業界・条件
GTM/GA4イベント設計による行動計測基盤 ほぼ全業種(特にリニューアル直後・計測未整備のサイト)
公式準拠の制作ルール(誇大排除・公式数値準拠) 大手グループ傘下のB2B / 上場企業 / ブランド品質基準が厳格な事業者
業種横断の4層KW構造設計 複数業種・複数プロダクトを横断するSaaS全般
GA4/GSC/GTM統合の月次レポート ほぼ全業種
CV到達セッションの黄金パターン分析 CVポイントが複数に分かれるB2B SaaS / 比較検討型サービス

必要な前提条件

横展開には以下の前提条件が必要です。

  • GTM / GA4 / GSC のアクセス権限付与とイベント設計の合意
  • 親会社・ブランド側の品質基準(書ける表現の範囲)の事前共有
  • 導入事例・実績数値の公式ソース提供(表記の正本確認)
  • 月2本以上の公開体制(クライアント側のリソース確保 or ソリシオ側での記事制作受託)
  • 業種ごとの規制・統計改定への追従合意

限界・想定されるリスク

  • 親会社ブランド基準の改定: 表現ルールが変われば制作ルールの再整備が必要
  • リニューアル直後のデータ不安定性: 検索評価が安定するまで単月データの解釈に注意が必要(地合い変動か施策効果かの切り分けが前提)
  • 業種ごとの規制・統計の更新: 業種ごとの規制・統計改定の更新工数が継続的に発生
  • 着地見込みの精度: 日割換算ベースの見込みは月後半の変動で振れる可能性があり、確定値での再評価が必要

Contact

まずは、課題を聞かせてください。

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